マニュアル車の半クラッチはなぜ必要? クラッチの構造

マニュアル車の半クラッチはなぜ必要? クラッチの構造

MT車に備わっているクラッチペダル。このクラッチとはそもそも何のためにあるのでしょうか。クラッチという装置の目的、構造などについてその概要を解説します。

クラッチの目的と動作の仕組み

クラッチとはMT車(マニュアル車)に装備されている「動力伝達装置」です。エンジンとトランスミッション(ギア)の間に設置してあり、発進、停止、変速時にエンジンの力をトランスミッションに伝える、または遮断する役割を担います。トランスミッションとは変速機のことで、エンジンからの動力を最適なトルクや回転数にしてタイヤに伝える装置です。

もっと簡略化していえば、クラッチはエンジンとタイヤの中間に存在していて、エンジンの力をタイヤに伝えたり、伝えなかったりするために必要なパーツです。

MT車の運転席の足元には、左からクラッチペダル、ブレーキペダル、アクセルペダルがあります。
クラッチペダルは通常、左足で踏みます。このクラッチペダルを踏んでいるとクラッチがOFFになり、エンジンの動力はタイヤに伝わりません。
また、クラッチを踏まないでいるとクラッチがONの状態になり、エンジンの動力がタイヤに伝わります。なぜこのような仕組みになっているかといえば、エンジンをかけた瞬間にいきなりタイヤが回り出すと車が急発進して危険だからです。

では、AT車にクラッチがないのはなぜでしょう。実はAT車でもほとんどの車にはクラッチが備わっています。AT車にはクラッチペダルがないだけで、コンピュータ制御と油圧によって自動的にクラッチ操作が行われています。オートマチックとはオートマチックトラスミッション、つまりクラッチ操作を自動化した自動変速機を備えた車のことです。

クラッチの構造

クラッチはクラッチディスク、クラッチカバー、フライホイールという主に3つの部位に分けられます。すべて円盤状で、この3つが組み合わさってクラッチが構成されています。

このうち、エンジンの回転軸に取り付けられていて、エンジンと直接つながっているのがフライホイールです。クラッチディスクはこのフライホイールに圧着させられるとエンジンの回転力を伝達するようになる仕組みを備えています。また、離れればその時点でエンジンからの動力が遮断されます。2枚の板があって、くっつくとエンジンとタイヤがつながり、離れるとエンジンとタイヤがつながらなくなるというイメージです。

クラッチカバーは、回転するクラッチ機構を覆うように取り付けられているカバーです。クラッチカバー内にはプレッシャープレートと呼ばれる円盤状のプレートがあり、これがクラッチディスクをフライホイールに圧着したり、離したりする働きをします。

半クラッチが必要な理由


基本的なことですが、MT車では走行中にギアチェンジをしたいと思ったとき、クラッチペダルを踏み込んでクラッチがギアとつながっていない状態にします。その間にシフトレバーでギアチェンジを行い、クラッチペダルを元に戻すことでギアチェンジが完了します。

半クラッチというのはクラッチが半ばつながっている状態のことです。クラッチペダルを踏み込んだ状態から少しずつ上げていくと、途中からエンジンの動力が伝わり始めます。このつながりかけている状態が半クラッチです。

この半クラッチを使えば、エンジンの力をいきなりすべてタイヤに伝えるのではなく、少しだけ伝えてタイヤが回り始めてから完全につなぐという流れができます。すると車はスムーズに発進します。半クラッチの操作に慣れれば、坂道発進や渋滞時の移動、駐車などでもなめらかに車を動かせるようになります。また、エンストを防ぐことにも役立ちます。

クラッチの構造を理解すると、車のメカニズムを少し深く知ることができます。MT車を運転するなら必須の知識でもあります。車好きなら、エンジンなどとあわせてクラッチについても詳しくなっておきましょう。

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