板金塗装に使われる塗料の種類と特徴

板金塗装に使われる塗料の種類と特徴

板金塗装で使用する「塗料」は、通常の塗料とはその使用方法や特徴が少々異なります。塗装作業を行う上でとても重要であり、扱いが難しいともいえる塗料について説明します。

板金塗装とは?

板金塗装とは、自動車のボディ(車体)の傷やへこみ、塗装の剥げなどを修理・修復する作業のことです。作業内容は板金と塗装とに分けられます。

板金作業は主に、自動車をぶつけたり擦ったりしたことによって変形したボディの形を整えていく作業です。外板パネルを叩いたり、裏側から押し出したり、表側から引き出したりしながら修理・修復していきます。

そして塗装作業は、板金によって整えたボディに色を塗り、ボカシを行って周囲の色合いと同調させ、塗装したことが簡単にはわからないレベルにまで美しく仕上げるための作業です。

以下、ここでは板金塗装のうち、塗装作業に使われる塗料について取り上げていきます。

車のカラーは塗料を調合して使用する

車に使用する塗料には通常のソリッドカラーの他、コートメタリック・パールカラー、コートパールなどがあります。塗装作業では、これらの120種類を超える原色塗料から必要な色を必要な量だけ選び、塗装する車のカラーに合わせて調色して行います。

たとえば同じ「赤」でも、メジアムレッド、シンカシャレッド、シグナルレッド、ロブスターレッド、サンレッドなどさまざまな種類があります。これらの色は最初からそのための塗料があるわけではなく、すべて何種類もの塗料を組み合わせて色を作ります。車ごとにその色は異なり、配合はカラーコード(オートカラー)として塗料メーカーが公表しています。

ただし、そのデータに従って調合しても、現車の色とまったく同じ色になるわけではありません。1台1台の車のコンディションによって微妙に色が異なります。実際の色に近づけるためには、さらに微妙な配合の調整=調色(色合わせ)が必要となります。この作業は非常に難易度が高く、作業者の腕の見せ所ともなります。

板金塗装に使われる塗料の種類

板金塗装で使用する塗料には、主に水性塗料とウレタン塗料があります。それぞれの特徴をみてみましょう。

水性塗料

現在、多くの自動車メーカーが、自動車の製造段階で水性塗料を採用しています。水性塗料は有機溶剤(いわゆるシンナーなど)を必要としないため、環境問題などの観点から使用が推奨されており、次世代塗料ともいわれています。

これに呼応して、板金塗装用の塗料としても水性塗料が発売されています。ただし、水性塗料に完全に対応している板金塗装会社はまだそれほど多くないようです。昔ながらの油性塗料のほうが扱いに慣れているためです。しかし、水性塗料が使用されている車の修理に油性塗料を使うと、両者の性質が異なるため境目などにトラブルが生じることがあり、今後は板金塗装においても水性塗料が主流になっていくと考えられます。

ウレタン塗料

ウレタン塗料はウレタン系樹脂を主成分とした塗料のことをいいます。厳密には、ウレタン塗料にも油性ウレタン塗料と水性ウレタン塗料があります。水性ウレタン塗料は、上で述べている水性塗料の中に含まれます。

油性ウレタン塗料は基本的に2液性です。塗布する際は主液に硬化剤を混ぜて固めるという方法を用います。油性ウレタン塗料は比較的安価で耐久性が高く、変色しづらく、美しく仕上がるといった特徴があり、現在、多くの板金塗装工場で使用されています。ただし、今後は水性塗料に切り替わっていく可能性が高いでしょう。

塗料の種類や特徴を知ることは、塗装作業を覚えていく際の最初のステップです。板金塗装を仕事にしたいと考えているなら、塗料について勉強しておきましょう。

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