液化天然ガス(LNG)を使った自動車の特徴とは?

液化天然ガス(LNG)を使った自動車の特徴とは?

液化天然ガスを燃料として走るLNG自動車をご存知でしょうか。日本ではまだ実用化には至っていませんが、大型LNGトラックの公道走行試験などによってその可能性を探る試みが始まっています。LNG自動車とはどのような自動車でどんな魅力と課題があるのか、その特徴を把握しておきましょう。

LNG自動車とは?


LNG自動車とは天然ガスを液体状態で貯蔵し、それを燃料に走行する自動車のことです。液化天然ガス自動車とも呼ばれます。LNGは「Liquefied Natural Gas」の略です。

天然ガス自動車として知られる自動車には、このLNG自動車に加えて吸着天然ガス(ANG)自動車、圧縮天然ガス(CNG)自動車の3種類があります。

日本では平成19年度から21年度にかけて、国土交通省の次世代低公害車開発促進事業の一環として大型LNGトラックによる公道走行試験が実施されました。その際、1,200kmの無充填走行を達成して一定の成果を得ています。海外ではアメリカ、オーストラリア、中国などで開発が進み、一部実用化されています。

液化天然ガス=LNGとは?

液化天然ガスは気体である天然ガスを-162℃以下に冷却して液体にしたものです。液化することで気体の約600分の1の体積となり、輸送、貯蔵に適した状態になります。

実は現在、天然ガス自動車の中で最も普及しているのは圧縮天然ガス(CNG)自動車です。しかし、圧縮した天然ガスを燃料とするCNG自動車は航続距離が短いことが弱点です。また、CNGを補給できる場所も限られています。そこでLNGを利用する天然ガス自動車の研究開発が始まりました。

LNGを車両内のタンクに貯蔵すると、同じ大きさのタンクにCNGを貯蔵した場合に比べて、一充填あたりの走行距離が約3倍に伸びると言われています。また、LNGは火力発電のエネルギー源などとして頻繁に利用されており、インフラが整えばLNG自動車への供給はCNGの場合よりもたやすくなることが期待できます。

こうした理由から、LNG自動車は長距離移動を必要とするトラックなどへの導入を目標とした開発が続けられています。

LNG自動車の今後の課題

LNG自動車は前述の公道走行試験などが行われているものの、まだ日本においては実用化には至っていません。

LNGは極低温を保つため断熱容器に貯蔵しますが、燃料を充填した後、周囲からの熱の影響を受けると、最低沸点成分であるメタンが蒸発してしまうことがあります。これはBOG(Boil Off Gas)と呼ばれるもので、BOGによってLNG中のメタン濃度が減少してLNGの組成が変わるウェザリング現象を引き起こすことになります。

そのため、LNG自動車では断熱容器の断熱性能の向上と、BOGによる損失を防止する策を講じることが課題とされています。

LNG自動車を含む天然ガス自動車は、ガソリン車やディーゼル車に比べてクリーンな次世代カーとして開発が急がれています。今後、特に長距離トラックなどで導入が進むことも考えられるので、その動向をチェックしておきましょう。

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